運動生理学の測定方法の原理とデータ解釈(持久力)

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17.6分間歩行テスト(6 minutes walk test: 6MWT)

 この持久力評価試験はButlandら(1982)により紹介され,Guyattら(1985)から標準化が始まり,ATS(アメリカ胸部学会)のステートメント(2002)で世界的なコンセンサスが得られているself-paced testで,Cooper(1968)の12-MRT ,McGavinら(1972)の12-MWTの流れをくむ持久力テストです.

 テストは,通常は室内の安全な場所(人の往来が少なく,平坦で歩きやすい廊下など)で行われますが,状況が許せば体育館や屋外で行うことも可能です.ATSガイドラインでは,歩行コースは30mを推奨しています(Guyattらは33mで行った)が,コース長より,コースの形が影響する(Scriba,2003)との報告があります.私たちは,各種施設の屋内廊下で施行する必要上,20m直線コースで6MWTを行っています.

 20m直線コースの場合は,1mごとにマーキングを行い,コースの両端は分かりやすい色のテープを使って床に印をつけます.ISWTと同様に,方向転換のポイントにコーンを設置するとターンがスムーズに行われます.

6MWTの手順は,

  1. テスト前2時間以内の強い運動は避け,ウォーム・アップはしない.
  2. 少なくともテスト前10分間は,椅子に座り安静にし,負荷をかけて良い状況か否かをチェックし,脈拍,血圧を測定・記録します.靴や補助具(杖など)も確認し,記録用紙に必要項目を記録します.また,この間に以下のようなオリエンテーションを行います.
     「この試験の目的は,6分間できるだけ長い距離を歩くことです.このコースを今から往復します.6分間は長いですが,頑張ってください.途中で息切れがしたり,疲労するかもしれません.必要ならペースを落としたり,立ち止まったり休んでもかまいません.壁にもたれかかって休んでもかまいませんが,できるだけ早く歩き始めてください.コーンで方向転換し往復歩行します.コーンを素早く回り,往復してください,これから私が実際にやってみるので見ていてください」(検査担当者自身が1往復し,歩き方と素早い回り方を示す).
  3. 歩行開始直前には,ベースラインの呼吸困難と全体的な疲労感を(修正)Borgスケールで測定する.
  4. スタート直前にできるだけたくさん歩くことと,走らないことを再確認する.
  5. 検査担当者は一緒に歩いてはいけない(ATS).ただし,私たちは対象者に転倒の可能性が有る場合には,いつでも手が届く範囲の斜め後ろについて歩いています(上の写真)
  6. テスト中の声掛けは時間経過のみ.ATSのステートメントでは,
    最初の1分:「うまく歩けています.残り時間はあと5分です」
    2分後:「その調子を維持してください.残り時間はあと4分です」
    3分後:「うまく歩けています.半分が終了しました」
    4分後:「その調子を維持してください.残り時間はもうあと2分です」
    5分後:「うまく歩けています.残り時間はもうあと1分です」
    残り15秒:「もうすぐ止まってくださいと言います.私がそういったらすぐに立ち止まってください.私があなたのところに行きます」
    6分後:「止まってください」
    試験中に患者が歩行を中断したり,休息が必要となったら:「もし必要なら壁にもたれかかって休むこともできます.大丈夫と感じたらいつでも歩き続けてください」
  7. 6分経過しないうちに中断する場合には,椅子に座らせ,中断した時間,中止理由を記録します.
  8. テスト終了後,歩行後の修正Borgスケールの呼吸困難と疲労レベルと総歩行距離を記録します.
  9. 私たちは,テスト終了後も脈拍数,血圧がベースラインの10%増まで戻るまで1分毎に測定しています.