障害者の運動トレーニング

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1.障害者スポーツ概論

1−1.はじめに

  スポーツをリハビリテーションの一環として積極的に取り入れ、現代の障害者スポーツの基礎を築いたのは故ルードウィヒ・グットマン卿(Sir Ludwig Guttmann)である。日本ではこのグットマン卿に学んだ故中村裕博士が積極的に広めた。

  グットマン卿は、1949年に英国ロンドン郊外にあるストークマンデビル病院で国際車いす競技大会を開催し、わずか16人の障害者による競技であったが、見事に障害者スポーツの成果を披露した。それから約50年たち、障害者スポーツは社会に浸透し、過日の長野冬季パラリンピックをはじめ、シドニー、アテネでのパラリンピック競技の様子は一般のニュースとして伝えられる程になった。パラリンピックにおける競技力を争う障害者スポーツはすでに「リハビリテーション」というよりも、むしろ競技スポーツの一つの姿であると考えられるまでに発展し、すでに社会に認知された競技スポーツの地位の一角さえ占めているといえる。

  障害者スポーツの厳密な定義はまだ無いが、障害者が参加するスポーツと考え、生理的な機能低下を含めた障害を持つ人が、スポーツを行うことして扱わせていただく。この講義では脊髄損傷など運動麻痺を中心とした障害者における総論的な障害者スポーツを紹介し、その重要性や問題に関して概説する。

Sir Guttmanと中村裕先生

図1-1. Sir Guttman と中村裕先生