神経の可塑性(2)

  加齢遺伝学>神経の可塑性(2)

2.人の一生と「脳の可塑性」

 脳の可塑性は,人の一生にわたって、人のあらゆる活動を規定してしまう程に重要な「脳の基本的性質」である (表1) 。「脳の可塑性」は人間の思考・学習行動や、人が様々な能力を獲得し発揮する上で決定的とも言える役割を果たす。繰り返しになるが,脳の基本回路は遺伝子に刻まれた設計図に基づいてひとたび出来上がるが、その初期回路は生後の環境からの刺激(入力)によって反応・変化する形 (可塑性) で発育、形成されてゆく。また、成人となるまでに、脳はひとたび完成するが、それ以降、脳の可塑性がなくなるのではなく、その後も正常な形でも、病的な形でも、外部入力に反応して脳は変化(脳の可塑性を発揮) を続けるのである。このように、脳、特に人の脳においては、遺伝子ばかりではなく、epigenetic なファクター(環境)がその形成、発育、修飾にひじょうに大きく関わっている。この観点からすると、人間の生涯は「脳の可塑性発現」の連続であるとも言える.

表1 身近な脳の可塑性の例

身近な脳の可塑性の例