神経の可塑性(2)

  加齢遺伝学>神経の可塑性(2)

4.記憶痕跡 (Engram)とシナプス可塑性

 記憶は,脳内にどのような形で蓄えられるのであろうか.現在信じられているのは,記憶の神経回路説である.閉回路説,反響回路説ともいう.それによると記憶情報は神経回路に蓄えられるという.主に回路内のシナプスに記憶が蓄えられると考えられている.記憶の形成の際には,特定の複数のシナプスにおける神経伝達効率が上がり(あるいはそれ以外のシナプスにおける神経伝達効率が下がることと連動して),それら一連のシナプスが形成する特異的な神経回路が脳の局所で形成されると考えられている.記憶を生じさせるため,つまり神経回路ができあがるためには,回路内の個々のシナプスにおいて神経伝達効率(シナプス伝達効率)が上昇することが必須である.すなわち,シナプス可塑性が発揮されなければならない.記憶の成立するメカニズムを理解するためにはシナプス可塑性(シナプス伝達効率が変化する性質)を明らかにすれば良いことになる.