加齢、性差、環境の影響

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1.加齢の影響

 筋力、好気的運動能は共に、20歳代を100%として、それ以降10歳ごと加齢するにつれて約5~10% づつ低下する。そして、20歳代レベルの25%以下になると自立した生活が不可能となる。これをADL(Activity of Daily Life) 不全閾値とよぶ。

図1. 年齢と体力との関係
20歳代の体力を100%とし、年齢による体力の変化をその相対値で表す。

 例えば、筋力について80歳では大腿筋の横断面積は20歳の50% にまで低下する。この加齢による筋萎縮は遅筋よりも速筋において著しい。一方、好気的運動能については、20歳代で最大酸素摂取量が45 ml/ 分であったものが、60歳代で30ml/ 分にまで低下する。この最大酸素摂取量の低下の最大の原因は最大心拍数の低下によるもので、最大心拍数 = 210 ー 年齢で推定することができる。その他、この加齢による最大酸素摂取量の低下には、心筋の収縮力、骨格筋量、血液量の低下も関与するとされる。

図2. 最大酸素摂取量に対する加齢の影響
信州大学の学生、松本市在住の高齢者を重ねてプロットした。Hetathらが報告している値とほぼ一致しているのに注目。

 現在、高齢者の運動トレーニング効果については、若齢者と同様、積極的に行うべきであるとの考えが大勢を占め、ほぼトレーニング強度の設定基準は確立されている。 例えば、60~70歳の高齢者を対象に膝関節の屈曲進展運動を1RMの運動強度で、1日8回を3セット、週3日、3ヶ月行うと等尺性筋力が10~15%増加する。さらに、好気的運動トレーニングについては、最大心拍数の80% の運動強度で1日45分間、週4日、6ヶ月運動を行うと、最大酸素摂取量が20~30% 増加する。数ヶ月間におよぶ比較的短期間に運動トレーニングによる高齢者の好気的運動能の改善メカニズムについては、若齢者の場合と異なり、血液量増加に伴う心拍出量の増加よりも、筋力量の増加、動静脈酸素較差の増大によるという報告が多い。しかし、横断的な研究では、若齢者の場合と同様、最大酸素摂取量と血液量との間に高い正相関があることから、より長いトレーニング効果としては血液量の増加も関与することが推察される。